山崎エリイ First Live 2017 「Teenage Symphony For You」

感想

2016年11月にアルバム「全部、君のせいだ。」でソロデビューを果たし、2017年4月に1stシングル「十代交響曲」をリリースした山崎エリイが満を持して開催した1stワンマンライブ。

ステージには森をイメージしたというシンプルなセットと照明装置があるのみで、ディスプレイやひな壇のような派手な舞台装置はなかった。しかし、それが「十代交響曲」の楽曲の雰囲気に合っていて、決して安っぽさを感じるようなものではなかった。

「全部キミのせいだ」で幕開け。
続く「Lunatic Romance」では、マイクスタンドを使ったクールで艶やかなパフォーマンスとともにタンバリンの演奏を披露。その雰囲気を維持したまま、歌謡曲のような懐かしいバンドサウンドが実にエリイちゃんっぽい「空っぽのパペット」へ。

MCに移るとさっきまでのクールな表情はどこへやら、途端にかわいらしい雰囲気に変わるエリイちゃん。本人は「19歳っぽくない」と気にしていたようだけど、大丈夫、みんなそこが大好きだから気にしなくていいのだ。

そして「ドーナツガール」。最前列にいた私は階段の存在に気付いていたのだけど、まさか曲中に客席に降りてきてくれるとは!
ライブ鑑賞のマナーが何かと取り沙汰される昨今。客席に降りたい!とエリイちゃん本人に言ってもらえるその信頼を、僕らファンは裏切ってはいけないと、改めて思った次第。

そしてここからはバラードゾーン。
「雨と魔法」。個人的な話をこんなところに書いてしまって恐縮なのだけど、ちょうど「全部、君のせいだ。」がリリースされた時期に仕事で辛いことがあって、そんな折聴いた「雨と魔法」の優しい雰囲気に癒された、というのがあったので、目の前で優しい笑みを浮かべながらこの曲を歌うエリイちゃんの姿を見たら涙が止まらなくなってしまったのだった。続く「My first love」「Pearl tears」という流れでは、ちょっと眠たくなってしまうくらいの(もちろんいい意味で)癒し空間で、胸の奥が温かくなったのであった。

一旦退場し、幕間に、山崎エリイの軌跡と題してこれまでの活動を振り返るコーナーが。
小さいころから歌うことが大好きだったこと、落ちると思っていたホリプロスカウトキャラバンに合格したこと、木戸衣吹さんとevery♥ing!を結成したこと、キンスパやアニサマといった大舞台を踏んだこと、そしてソロデビューしたこと、とこれまでの転機となった出来事とそれについて思うところがエリイちゃんの口から語られ、それだけで感慨深かったのだけど、ステージに戻ってきたエリイちゃんはトウシューズを履いていて、そして「cakes in the box」でバレエを披露。

バレエのことはよくわからないのだけど、ステージ上で楽しそうに踊るエリイちゃんの姿はただただ美しくて、釘づけになってしまったのであった。
every♥ing!のフォトブックでエリイちゃんのお母様が評していたとおり、まさに水を得た魚のように、しなやかに、かつ美しく舞っていたのであった。

「Zi-Gu-Za-Gu Emotions」は事前に動画が上がっていたサビの振り付けが楽しいだけでなく、AメロBメロもそこまで難しい振りではなかったのでその場でコピーするのが楽しかった。「アリス*コンタクト」は80年代アイドル楽曲の雰囲気そのままで、ちょっと古臭いくらいの手拍子と合いの手が似合う楽曲。それに続く「星屑のシャンデリア」は、エリイちゃんからすると挑戦的なセットリストだったようだけど、まるで白ウサギに連れられて不思議の国に迷い込んだアリスのことを歌っているかのように感じられ、これ以上ないほどの選曲であるように思った。

本編ラストは「十代交響曲」。直前のMCで名残惜しそうにするエリイちゃんがまたかわいかった。それでも楽曲に入ると曲の世界観に自ら没入し、観客までも引きこんでしまうのだからやはりすごい。

アンコールでは、初の本人名義歌唱であった「Dreamy Princess」に続けて、これまで自分に関わってくれたすべての人に感謝を、と「星の数じゃたりない」を歌って終了。
エリイちゃんの、周囲の人たちを大切に思う気持ちがあふれて会場全体を満たしているかのような、最高にピースフルなアンコールであった。

思い返せば、私が初めて参加したevery♥ing!のカラフルストーリー39公演。
そこでは「みなさんの好きに楽しんでいただけたら」と、観客に委ねるかのような発言をしていたエリイちゃんだけど、1stワンマンライブでは、「皆さんの近くに行きたい」「皆さんと一緒に踊りたい」と、ちゃんと演出を自分で考えて、どんなライブにしたいか、自分の意見をちゃんと主張しているところに意識の変化を感じたのであった。
エリイちゃんが自信を持って自分を出せるようになったのはファンとしてとてもうれしいし、これを機にもっとやりたいことを前に押し出していってほしいと思う。

そして、「わたしはみなさんを愛しています!だから、これからも笑顔を見せてくれますか……?」と話すエリイちゃん。むしろその言葉はそのままエリイちゃんに返したいくらいであった。

決して派手なライブではなかったけども、大きな舞台装置を使わずとも、エリイちゃんのファンを思う気持ちだけで十分思い出に残る公演を作り出せていたと思う。むしろ、山崎エリイの「発表会」とでもいうようなシンプルな雰囲気が、今のエリイちゃんにはとてもよく似合っていたように思えるのだ。

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