【5/6 14:00】舞台「やがて君になる」[アフタートークあり]

感想

※一応。ネタバレありなのでご注意ください。


アニメから好きになり、原作まで読んだ「やがて君になる」が舞台化、しかも私がよくライブに行っているA応Pの春咲暖さんが叶こよみ役で出演すると聞き、これはなんとしても観に行きたい!ということで、初日と5/6の2回観賞。

原作が完結していない上に、この舞台の企画が決まった段階では恐らく既刊6巻であっただろうボリュームを、2時間の舞台にどうやって落とし込むのか、原作を知っている人ならいちばん気になるところであっただろうし、不安と期待が入り混じった気持ちであったと思う。

ふたを開けてみれば、カットされている部分はかなり多かったし、登場人物も必要最低限のところでしか出てこないし、沙弥香や朱里のエピソードはほぼカットだったけども、その分濃密な2時間を過ごすことができたと思うし、侑、燈子、沙弥香のそれぞれが抱えている感情の動きや、「恋愛」に対するとらえ方の違いがより鮮明になっていて、作品世界に対する理解がより深まったようにも感じられた。

そして何より、役者さんがみんなビジュアル面でも演技の面でもキャラクターそのもので、「やが君」の世界がそこにある、と感じることができた。観劇の経験が少ない私の語彙力ではうまく説明はつかないのだけど、アニメとはまた違った雰囲気の演技で、そこはやはり身体性がより強く出てくる舞台ならではの感覚なのかもしれない。

以下箇条書きで印象に残ったシーンを。

●オープニング、侑が中学の卒業式で受けたクラスメイトの男子からの告白を断るとき、燈子は侑に「君はそのままでいいんだよ」と言ったのに対して、エンディングで、侑が燈子に告白しようとしたとき燈子が「変わってもいいんだよ」と言ったというこの対比は、舞台の2時間を通じて変化した二人の関係性を端的に表すいいシーンだなあ、って。

●生徒会選挙に向けての集合写真撮影で、不意に侑に手を握られて動揺する燈子を「ずるい」と表現した侑と、燈子に求められるがままに、自分の気持ちを抑え込んでいる自分は卑怯だろうか、と聞く沙弥香に対して、「好きな人の望みを叶えるために本当の気持ちを飲みこむ(=とても辛いこと)あなたはいい子」と答えた都との対比。
この2つのシーンは、原作やアニメだと時間が結構開く(生徒会選挙という山場を一度挟む)ので、舞台の脚本で圧縮されて私は初めてこの解釈に至った次第。

気持ちを表に出すことだけがいいこととも限らないという文字通りの意味でもありつつ、自分の「好き」という感情を自覚できてない侑と、自分の気持ちを表に出すわけにはいかない沙弥香と、理由は違えどどちらも燈子によって「好き」という感情を抑えつけられているのだな、と解釈すると、確かに燈子は第三者の視点から見ても「ずるい」のである。もちろんそれは責められるべきものでもないのであるが。

●侑と燈子のキスを思い出してニヤつく槙くんとそれをからかう堂島くんのやりとり。百合作品なのに男子が邪魔に思えないこの作品は稀有であると同時に堂島くんの害のないチャラさは重くなりがちなこの作品では癒しだった。

●都さんと箱崎先生のイチャつくシーン全般。というか都さんかっこよすぎた。あんな喫茶店があったら通ってしまいかねない。

アフタートークでは、役者さんの素を見ることができて面白かった。
役とご本人とのギャップがまた面白かったのだけど、それと同時に、そこまで役に入り込める役者って本当にすごい、と思ったのだった。
とりあえず礒部花凜さんはぶっとんでて面白かった。でも板の上ではまぎれもなく沙弥香だったのだよなあ。

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