A応P 4th LIVE TOUR LOOK at ME!!! FINAL公演

感想

2019年9月からスタートした、「A応P 4th LIVE TOUR 2019-2020 LOOK at ME!!!」のファイナル公演。
7月のファンクラブイベントから準備が進められていたことを考えると、2019年の後半はずっとツアーモードだったことになるので、関東開催の公演のみの参加となった(福島公演にも参加予定だったが台風の影響で公演中止に)私からしてもファイナル公演ではちょっとした達成感があった。

年始早々に神田明神ホールでの開催ということもあり、早朝から会場へ向かい初詣も兼ねて神田明神へ参拝。
思い返してみれば3rdツアーも1stツアーもファイナル公演は1月で、こうやって年始にA応Pのライブを見に来るのも三度目なんだな、って思うと、結構この現場も長く通ったなあと感慨深いものがあるのであった。

さてファイナル公演。これまでのツアーの集大成ということで、演技企画の朗読劇がここで完結を迎えた。
全公演に参加しないとストーリーはすべて見られないのだけど、公式サイト掲載のストーリー概要だけ読んでファイナル公演を見たとしても話の展開は理解できる構成となっていた。

今回のツアーに合わせて結成された3つのユニット内ユニット、「aimai soleil」(小嶋、堤、広瀬)、「OVERWHELM」(旭、春咲、星希)、「priily♡」(工藤、巴)それぞれが異なる別々の世界から、一つの異世界へ転移し、そこで協力しながらそれぞれの元の世界へ帰ることを目指す、という内容なのだが、その異世界は、とあるアニメ好きの地球人が現実に疲れ果て、自らの心の中に好きなアニメの登場人物を具現化させた結果生じたもので、自らは「領主」としてその世界を生きていた、という事実が明らかにされた。

どうしようもなく辛いことがあったり、そこまでいかなくても日々の生活にどこか満たされない想いを抱えていたりしたときに、アニメが救いになった経験は、私自身持っているし、この文章を読んでいる人にも心当たりがある人がいるかもしれない。そもそもそういう人間が「オタク」になるのではないかとすら思える。

そしてメンバーみんなが「オタク」であり、「アニメ勝手に応援プロジェクト」を担っているA応P。
「この作品のおかげで今がある」といった話をトークイベントやブログで語っているメンバーもいるわけで、そんな彼女たちがこのような物語を演じているということも相まって、不覚にも涙腺が緩んだ。

その後で『ディア ホライゾン』である。現行の8人体制では初披露となった。
ふとしたきっかけで出会った、本来出会うはずのない3つの世界の住人。
そしてそこに集まった8人に励まされて、再び立ち上がることを決めた「領主」である世界の主。
そんな背景を踏まえながら聞く『ディア ホライゾン』のエモみたるや。
朗読劇の内容とのリンクもさることながら、4thツアーの長い期間を経て、結束力がますます高まったA応Pの今の姿をも象徴しているようで、なんとも心に響いたのであった。

話は変わって、ツアーに合わせて結成されたユニット内ユニットもまた素晴らしいものであった。
恐らく純粋にA応P名義としてはなかなかリリースできないであろう曲調の楽曲ばかりで、それぞれのユニットの個性や楽曲のクオリティともに、このツアーだけで終わってしまうのはなんとももったいなく思えるものであった。
日曜朝に放送されている女児向けアニメの主題歌っぽい「aimai soleil」。
個人的好みでマニアックな話をすると、作曲に宮野弦士(フィロソフィーのダンスやMELLOW MELLOWへの楽曲提供で有名)、編曲に倉内達矢(ラブライブ!関連楽曲への提供が数曲あり。『LONELIEST BABY』『Beat in Angel』『Shangri-La Shower』など)という私が好きな作家さんの組み合わせでクレジット見た瞬間に変な声が出そうになった『STEP BY STEP』が本当に好き。サビの振りコピもすごく楽しいのでおすすめ。

バトルアニメっぽい雰囲気がある「OVERWHELM」。
この3人集めてロックやったら絶対かっこよくなるでしょっていう鉄板の組み合わせ。
『開封MOTiVE』のギターがめっちゃ好き。

そしてとにかくかわいい二人組「Priiry♡」。
予想に反してダークファンタジー的な雰囲気の楽曲であったけども、二人のアニメの趣味(特にひなきちゃん)を考えるとむしろこっちなんだろうな、と思える。
『DarkMatter LOVIN' YOU』の不思議な浮遊感と疾走感がちょっと癖になる。
そして衣装はこのユニットがいちばん好みだったりする(神奈川公演の特典会でひなきちゃんとPriiry♡の衣装可愛いよねーって話をしたくらいには)。

とまあそんな感じで、A応Pとはまた違った側面が見られたよい企画だったように思うので、是非ともまたどこかでやってもらいたいものである。

最後に、このツアーのタイトルであった「LOOK at ME!!!」なのだけど、ファイナル公演まで来てこの意味を考えてみると「深いな」と思えるのであった。
まず6人の新メンバー(もはや新メンバーという呼び方も合わなくなってきただろうが)は、4thツアーを経てますますパフォーマンスに磨きがかかったし、ステージで見せる表情もずいぶんと明るくなったように思う。2ndツアーのファイナルではみんな緊張していたり余裕がなかったりするのが見て取れたし、3rdツアーは史上最大の規模の会場という緊張感がどうしても出ていただろうけど(先輩2人はアニサマを踏んでいるのがやはり大きい気がする)、4thツアーのファイナルは本当にみんな楽しそうで、いい表情だった。

そしてひろせが話していた「この職業に就いていても、『私を見て!』って言うのは勇気がいることだけど、このメンバーとなら私は心の底から『ルックアットミー!』って叫べる」という言葉。とても含蓄のある言葉だな、と思った。

ツアーのコンセプトに掲げられていた「CHARACTER」。ユニット全体の魅力を伝えてきたこれまでとは異なり、今回はメンバーそれぞれの個性を磨くという意味があったようだが、そもそもすべての人は本質的に唯一無二であってそれぞれに個性的であるはずで、じゃあ「キャラクター」はどこから生まれるのかというと、他者とのかかわりの中で自然と立ち上がってくるものなのではないだろうか。

「私を見て!」って自分から言う時、そこには程度の差や自覚的あるいは無自覚的の差はあれど、いくらかは自己顕示欲の発露みたいなものがあって、どこか飾った自分を見てほしい、みたいなニュアンスが含まれてしまうように思うし、それをやってしまうと「悪目立ち」になってしまう危険すらあるかもしれない。
だけど、信頼できる仲間とのかかわりの中で、正直に自分をさらけ出すことで自然に表れてきた「個性」を持って、改めて「私を見て!」って叫ぶとしたら、それは飾らない自分のまま、心の底から出てくる言葉なんだろうと思うのである。

もちろんひろせ以外のメンバーも、このツアーを通して改めて自分の本来の強みや個性を再確認できたのではないかと思うし、それぞれがそれぞれらしく個性を出したその先にあるA応Pのグループとしての魅力が、これからもっともっと見られるのではないかと期待が高まるのだ。

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