山崎エリイ 4th LIVE 2019 ~Fairy tale~ 【2部】

感想

歌手としてのソロデビューから3年、単独ライブは4度目となる山崎エリイ。
4thライブの1日目は、コンセプトを"Fairy tale"(英語で「おとぎ話」の意味)とし、harevutaiという池袋にできた新しい会場の、ステージ背後の大きなスクリーンを使った演出が非常に印象的であった。

冒頭、スクリーンにオリジナルのアニメーションが流れ出す。
絵本の中からの呼び声に応じて、絵本の中へと吸い込まれていくエリイちゃん。
絵本の中では、カボチャのランプの精霊(?)ジャックがいたずらをして、世界を司る大時計を動かす三つの石を隠してしまって、時間の流れが大きく狂ってしまっていた。
背中に羽が生えた小さなオオカミのうるーふと一緒に、エリイちゃんは三つの石を探す旅に出る……というお話。

全登場人物の声をすべて一人で担当したエリイちゃん。それはさながら絵本の読み聞かせのようで。
また、ストーリーも特にバトルが起こるわけでもなく、いたずらをしたジャックも悪者ではなくて、自分がやってしまったいたずらを既に反省していたりと平和でほっこりとした展開で、なんともエリイちゃんらしいあたたかな雰囲気であった。

偶然か、エリイちゃんの楽曲にはおとぎ話をモチーフとしたものがいくつかある。
「不思議の国のアリス」をイメージとした「アリス*コンタクト」、
「人魚姫」をイメージとした「Pearl tears♢°」、
「シンデレラ」をイメージとした「夜明けのシンデレラ」、
「白雪姫」をイメージとした「気まぐれイニシエーション」、
そして、「赤ずきん」をイメージとした最新シングル「Remember me?」である。

また、具体的なイメージはないものの「cakes in the box」や「Flowery Dance」、「星屑のシャンデリア」あたりもどこかおとぎ話のような雰囲気を感じさせる。

これらの楽曲はリリース時期も収録されているアルバムも違えど、セットリストには不思議と統一感があった。
幕間が先ほど書いたオリジナルアニメのみで展開され、ライブ一本を一つのストーリーとして見せることに成功していたように思う。

また、曲ごとに変わる背後のスクリーンの高精細で美麗な映像は圧巻であった。
ステージとスクリーンの横幅がほぼ同じのため、没入感がほかのホールとは全然違うのである。
「Flowery Dance」の、イントロのSEに合わせたガラスが割れる演出は、きっと誰もが一度は脳内に描いた映像だと思うし、無数の星の映像をバックに歌う「星屑のシャンデリア」はただただ美しかった。

山崎エリイ本人の半生を振り返るような構成であった1st、
歌謡曲カバーと自身の持ち歌の重層構造であった2nd、
どちらかというとアルバムリリース公演の側面が強かった3rdと比較して、
4thは世界観が作りこまれたコンセプチュアルなものとなっていた。
エリイちゃん本人が自分なりの表現の仕方を模索しつつ形にしたのが伝わってきたし、それを受けて会場全体もゆったりとした雰囲気で包まれていた素敵な空間であった。

来年以降、エリイちゃんがどんな世界を見せてくれるのか、とても楽しみになった12月21日であった。

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