「堕ちる」1週間限定レイトショー@シネマート新宿 2017年4月11日

感想一覧(1)

  • Long_t31613f

    映画本編がお目当てで、友人のフクハラーにチケットをとってもらったら、まさかの最前センターに放り込まれてトークショーで福原さんにマイク向けられるというとんでもない体験をしてしまって危うく「堕ちる」ところであったのだが、とりあえずそれは置いておいて映画本編の感想をここでは書こうかと。

    (ネタバレを含みます)



    映画本編だが、とにかく痛い。いろんな意味で。
    アイドルでも声優でも、その手のジャンルでオタクをやってて現場に通っている(いた)人にとっては間違いなく痛いはず。逆にそうじゃない人にとってはただの気持ち悪いおっさんの話にしか見えないはず。まずそのくらい人を選ぶ映画。

    主人公の耕平は冴えない中年男性で、郊外にある織物工場で職人として働くも仕事ぶりはイマイチで社長にも叱責されてばかり。そして(恐らく)独身で家ではコンビニ弁当を買ってきて一人で食べる。そんなおっさんがひょんなことから地下アイドル「めめたん」にハマってしまい、自分も何かしたい、と技術を活かして衣装を織り上げてプレゼント。
    しかしめめたんが東京へ進出しメジャーデビューし地元のライブハウスには来なくなってしまい、さらにライブ中に耕平は手を怪我してしまいそれが遠因となって職場はクビに。そしてめめたんの衣装は耕平の手元に戻ってきてしまう。

    失意のどん底にいた耕平であったが、めめたんのために作った衣装が偶然工場の社長の目に留まり、耕平は新たな地下アイドルの衣装をプロデュースすることになる…というお話。

    耕平が報われてるのか報われていないのか、その解釈については人それぞれだと思うけども、私はハッピーエンドであるように思う。
    トークショーでも言及されていた通り、観るオタクのバックグラウンドによってもその解釈は変わるような気がした。

    地方を拠点にしていたアイドルが東京へ進出してしまうとか、メジャーになることで距離が遠くなってしまうみたいな経験は地下アイドルを推していないと体感できないことだし、そのあたりは声優現場にない特有の事情であるように思えた。なので、いわゆる「運営落ち」がいいことなのか悪いことなのかは私にはよくわからない。

    誰かを応援したいと思う気持ち、そしてそこから生じる妙な無力感。
    所詮はステージの上に立つ存在と観客という間柄は変えられず、果たしてただの客である自分にいったい何ができるのか、そして応援すればするほど、メジャーになればなるほど、自分からは遠ざかっていく(ように見える)というジレンマ。
    それは恐らくジャンルが違っても現場オタクなら一度は味わったことがあるはず。

    この辺の感情の機微が短い時間にぎゅっと詰め込まれていて、自分と重ねあわせて実に感情を揺さぶられる作品であった。

    パーマリンク  2543日前

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