fhána World Atlas Tour 2018 東京

感想一覧(1)

  • Long_t31613f

    fhánaの3度目のツアーの国内最終公演。
    これまでのfhánaのライブはどれもよかったのだけど、今回のツアーはコンセプトそのものが本当に良かったと思う。
    これまででいちばん「開けていた」テーマだったように思うし、観客個人個人がそれぞれの旅路を経て「合流する」という佐藤さんが繰り返し唱えていたテーマがこのときの私の心に妙に響いたのであった。

    この公演のセットリストはいろんなジャンルの楽曲が散りばめられていて、その度に会場の空気感が、観客のテンションが、それぞれめまぐるしく変わっていった。
    ピアノ一本での『kotonoha breakdown』から始まり『Calling』でギターのノイズだけが残ったまま本編が終わる、という演出は本当にかっこよかった。

    アンコールでは、大阪公演でやって楽しかったので、と『今夜はブギーバック』を再度披露。大阪公演には参加していなかったので、ここでtowanaちゃんの誕生日を送れながらもお祝いできたのは本当によかった。

    アニソンのタイアップで有名になったバンドではあるけども、作品世界に寄り添った曲を作りながら過度に媚びることもなく独特の雰囲気を持った曲を作り続けてきたfhána。
    「ジャンルで音楽をやっているわけではないので、どこに行ってもfhánaはfhánaです」と力強く言い切った佐藤さんが本当にかっこよくて、それと同時に、なぜ私がfhánaをずっと好きでいられたのかをここで改めて再確認できた。
    fhánaの曲をfhánaたらしめている何か、それは上手く言語化できるものではないけども、音楽的なルーツも世代も違う個々のメンバーが、それぞれが必要不可欠な存在としてバンドを作っているその関係性こそが、fhánaの魅力であり、どんな曲を作っても「あ、fhánaだ」って思わせてくれる要素なのではないかと思う。

    『World Atlas』の楽曲のコンセプトがそうであるように、世の中には明るい一面もあれば暗い一面もあるし、慣れ親しんだ世界から一歩外に踏み出せば、これまで認識していたものとは比べ物にならないほど広大な未知な世界が広がっているのだろうけど、自分の「地図」があれば、どこに行っても前に進むことができるのかもしれない。

    fhánaのメンバーがこれまでの活動のなかでいろいろなことを体験し、ここで「世界地図」を手に入れたように、私もようやく自分だけの「世界地図」を手に入れられたような、そんな気がした。それは30代という年齢になってようやく自分のことを客観視できたからかもしれないし、いくつかの挫折を乗り越えてきたからかもしれないし、あるいはこれまで出会ってきたいろいろな人たちのおかげかもしれないけども、fhánaというバンドの成り立ちとか、佐藤さんがアルバムに込めているメッセージとかを見ていると、どうも自分と重なる部分が多くて、私の人生観とか思想にも大きく影響を及ぼしていたりするわけだったりするのである。

    世界は広い。だからこそまだ旅は続く。
    そしてこれからの旅路でもいろいろなことが起こると思うけど、そんな時も大好きな音楽があればきっと乗り越えられそうな気がする。
    そしてまた、fhánaの旅路に合流できる日がくることを楽しみにしつつ、今日も私は自分の旅路を歩くのである。

    パーマリンク  2101日前

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