田所あずさ LIVE TOUR 2016 ~Live Forward~ 大阪

感想一覧(1)

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     「唯一無二」という表現がある。文字通りこの世でただ一つしかないという意味だが、世間を見渡すとどのアーティストも「唯一無二の音楽性」「唯一無二の歌詞」などと謳っている。
    そんな中。"田所あずさこそ「唯一無二」という言葉に真にふさわしい声優アーティストではないか"そう思わざるをえない、2016年の幕開けだった。
     さて、2014年末の3rdライブ大阪で僕はバンドのフロントとしての彼女のポテンシャルに度肝を抜かれた。そして今回は彼女の歌声の「唯一無二」性を再確認させられた。
     得意な音域での他を圧倒する声の伸び、ビブラート気味に声を抜くときの音程の安心感、語尾を上げるときの綺麗としか言えないその響き、彼女の歌声の良さは上げればキリがない。
     しかし僕が言いたいのは、その歌声に宿る表情だ。どのような場面でもそこで一番しっくりくる歌い方をしてくる。それが誰にも追随を許さないその歌声の個性に大きな役を買っているのではないだろうか。

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     "明日の私 輝いてゆけ 続く未来へ I say Hello!"
    の歌い出しで始まる1stシングル「DREAM LINE」、自身初のオリジナル曲であった「ヒカリになって」、1stアルバムきってのキラーチューン「キセキ」と序盤からこれでもかというほど攻めのセットリスト。4thツアーの初日、大阪の単独公演はおよそ1年ぶりということもあるのか、フロアは一瞬で熱狂へと変貌する。
     MCを挟んでも勢いは衰えず、代表曲「Hello My Revolution」さらには「Brilliant sensation」とアップテンポな楽曲が続き、その後は落ち着いた曲を数曲。アコースティックコーナーで2曲を披露した後、"無彩限のファントムワールド"OPとなった「純真Always」をフルで初披露。この曲の前のMCでついにタイアップ!との話があったが、ここまで積み重ねてきたものがあってようやく手にしたそれは大きな自信となるであろう。そしてとにかくアガる「あおぞら」、2ndシングル「君との約束を数えよう」の後に力強く歌い上げる「ツボミノコエ」と続ける。
     彼女の歌声に、「あずさ2号」のバンドメンバーも答える。Mp篠崎が裏方として支え、Dr北村はアップテンポ、バラードの中のそれぞれ複雑なフレーズを叩きこなす。Ba岩切はムードメーカーとしてMCに参加したり、曲中にステージ上を駆け回る。Key白井が「いいことありそう」で見事なジャズテイストのE.pianoソロを披露すると、バンマスでGtの加藤は「Brilliant Sensation」のアウトロのタッピングソロなど刺激的なソロで魅せてくる。バンドでのライブならではの楽しみだ。
     本編最後は「Straight Forward」。改めて自身の作詞であるこの楽曲への想いを語る。作詞という作業は行程の1部分ではあるが、そのウェイトは果てしなく大きい。その苦しみを語りつつ、高校時代の想い出へも言及。テニス部の憧れの先輩が好きだったのかと聞かれ、いや憧れで、と照れる彼女であったが、その憧れの気持ちをまっすぐに表現した歌詞、そしてそれを自ら歌い上げる表情にはただただ視線が吸い込まれた。
     アンコールでは全員がTシャツに衣装チェンジ。アンコールに応えるようにまずは「セツナレター」を歌い上げる。そして「チュルリルラ」の振付講座。本人は振付をしつつ歌うのが苦手とのことで、実際に歌詞を間違えてしまうが、不思議と不快にならない。アンコールラストは「My Favorite Destiny」。観客はそれまで大きく動くことがなかったが、この曲だけは堰を切ったようになだれ込み、腕や声を上げて楽しさを爆発させた。
     最後にバンドメンバーと肩を組んでマイクを通さずに感謝の気持ちを伝える。その姿を見てこれがまだツアー初日だと信じられない気持ちと、今後への期待が膨らんでくる。恒例のコールアンドレスポンス、「でも楽しくて?」「しょうがない!」を毎回本心で言ってしまうのは彼女とあずさ2号のパフォーマンスがそれだけ良かったということだろう。さあ今年も田所あずさから目が離せない。

    パーマリンク  3033日前

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